研究概要 |
1.実験及び計算で得られている多価イオンー原子間の電子捕獲過程に関するデータの収集を行った. 結果はまとめて発刊した. 2.課題研究に必要な以下のプログラム群の開発, 移植を行った. (1)GAUSSIAN70+EFCI,Junker,GAMESS,(2)原子型及び分子型ETFを含む回転結合, 動径結合計算のためのプログラム, (3)結合方程式を解くプログラム. 3.(O^<6+>+HHe)系の1電子捕獲断面積を計算. 結果は(1)電子捕獲がR〜5ouでの入射チャネルとO^<5+>(3l)チャネルの間の動径結合によって支配されていること, (2)原子基底に基づく計算結果と中間衝突エネルギーでかなり良く一致すること, (3)低エネルギー領域ではそれまでに得られている実験値, 計算値よりも我々の数値が信頼できること, (4)低エネルギー領域では衝突軌道跡として直線近似を用いると断面積が大きくなりすぎるのでクーロン型軌跡を用いなければいけないこと等を示している. 4.電子捕獲断面積の入射粒子, 標的粒子依存性を調べるためまず(1)(Be^<8+>+He)系, (2)(Be^<q+>+H)系, (3)(B^<q+>He)系のポテンシャルエネルギーを計算し, 比較した(q=1〜4). このうち(Be^<3+>+H)系の断面積の数値は全く得られていなかったが我々が計算したところ面白い結果が得られたので論文にまとめて投稿した(掲載が許可). 更に(B^<3+>+H)系は10チャンネルで有効な1電子, 2電子捕獲がすべて考慮できるという珍らしい例である. 現在計算中であるが2電子捕獲過程の新しい取り扱い方法の開発が期待できる. 5.(Mg^<2+>+He)系の1電子捕獲の微分断面積, alignmentの数値を計算で求めた. 6.(N^<5+>+He)系:ポテンシャル, 結合項より10個の状態を考慮する必要があることがわかった. それ等に更に2個の2電子捕獲状態を加えて断面積の計算を実行中である.
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