研究課題/領域番号 |
60540241
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物理学一般
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研究機関 | 城西大学 |
研究代表者 |
伊藤 陽 城西大, 理学部, 講師 (10159923)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1986年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1985年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 多価イオン / 微分断面積 / 一電子移行過程 / 脱励起 / 遷移則 |
研究概要 |
実験装置…衝突エネルギー10eV程度でのイオン・原子衝突の二重微分断面積測定用ビーム実験装置を改良し、自作の自動データ収集システムを用い二重微分断面積測定を行った。全散乱イオン角度分布測定用の検出器およびその測定システムも開発し、性能試験も行った。 実験結果……希ガス2価イオンと希ガスの衝突系において、主として一電子移行過程について測定を行った。その結果、(【i】)ポテンシャル交叉点が反応窓内(核間距離3〜5【A!゜】)にある時に、一電子移行反応が起こりやすくなること、(【ii】)発熱量の大きな反応の微分断面積は角度分布が広くなること、が見出された。また、(【iii】)【N_2】、【O_2】のような分子標的の場合は、(【i】)がほぼ成立ち、解離性電荷移行反応が主として起きているようであるが、装置の分解能不足で、始状態・終状態の明確な同定は行えなかった。(【iv】)【Ar^(++)】-He系では、一電子移行過程と競争過程である準安定状態(【^1D-2】)の脱励起が観測され、低エネルギー領域でのスピン非保存反応に関する一定の情報を得ることができた。 考察……低エネルギー領域での非断熱遷移は主として動径結合によって誘起される。多数回のポテンシャル交叉が関与する時、それぞれの交叉点での遷移は独立に扱って良いと思われるが、スピン状態が変化する衝突過程に対して見通しの良い遷移則理論はまだない。この意味で、本研究において見出されたスピン非保存反応とそれに対して小池によって、中間状態の波動関数の性質の変化という概念を用いて説明が与えられたことは、今後の遷移則に関する研究の進歩に役立つものと思われる。 今後の実験的課題……ポテンシャル交叉における遷移則に関するより詳細な情報を得る為には、装置のエネルギー・角度分解能を向上させなければならない。この為には、標的の熱運動を除去することが特に重要であり、超音速ビームを用いることが必要となろう。
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