研究概要 |
日本の石灰岩地帯のなかで、未調査地域であった下記の石灰岩地帯に発達する植物群落を調査し、その生態的特性を明にした。1 熊本県人吉・五家荘地方(イブキシモツケ低木林・イワツクバネウツギ低木林・アラカシ林・ウラジロガシ林・フサザクラ林・ケヤキ林・カヤ-クマシデ林・岩壁植生),2 長野県南佐久郡梓白岩山(チチブミネバリ林・イワシモツケ低木林・イワオウギ-イブキボウフウ草本群落・岩壁植生),3 岡山県備中地方(イワシデ林・アカマツ林・ノグルミ林・アブマキ林・岩壁植生),4 富山県利賀地方(ブナ林・ミズナラ-グマシデ林・イワシモツケ低木林・フジアザミ-ヤマホタルブクロ草本群落・岩壁植生),5 茨城県日立地方(ウラジロガシ林・アカマツ林・コナラ林・岩壁植生),6 埼玉県秩父郡赤沢岳(チチブミネバリ林・イワシモツケ低木林・岩壁植生). 一方、石灰岩植生の生態的特性を明にするため、下記の植物について化学分析を行なった。1 好石灰岩植物--チチブミネバリ・シナノクロツバラ・ヒロハヘビノボラズ・イワシモツケ・ヨコグラノキ・イブキシモツケ・イワツクバネウツギ・キビノクロウメモドキ・チョウセンヒメツゲ・イワシデ・クマガワイノモトソウ・他6種。2 嫌石灰岩植物--アカヤシオ・ナガバノヤマグルマ・ミヤマヤシャブシ・ジゾウカンバ・オノオレ・ハクサンシャクナゲ・アズマシャクナゲ・フクロシダ。3 広適応種--アカシデ・アキニレ・ヤマブキ・アラカシ・ウラジロガシ・シロバイ・ボロボロノキ・ウラハグサ・他12種。分析資料は季節をかえ、花・蕾・葉・小枝に分け、Ca・K・Mg・Na・Si・Al・Fe・Mn・Zn・Cuについても定量分析を行い、石灰岩植生の特殊性を無機成分の側面から究明した。
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