研究概要 |
マメ科根物の根毛を経由して根の維識へ根粒菌が侵入すると, その部分が黒常分裂を開始し, 根粒組織へと分化する. その時, 根粒特異的タンパク質が合成される. つまり, nodulinの合成である. このnodulinの中で最も注目されるタンパク質にレグヘモグロビン(Lb)がある. Lbは分子量16, 000のmonomerのヘムタンパクで, 根粒中のニトロゲナーゼ活性を空気中の酸素から保護する役割をもつ. Lbが根粒中で合成されるメカニズムの詳細は不明であるが, 菌が感染しないとLb-geneが発現しない事実から, 感染菌が何等かのシグナルを植物細胞に送っているものと考えられる. 本研究においては, 1)根毛より感染糸合成経路を分析, 根粒形成時において, 根組織のどの細胞でまずLb合成が行われるかを蛍光標識抗体間接法により, 蛍光顕微鏡, 走査型・透過型電子顕微鏡を用いて追跡した. 2)次に, Lbのprobeを調整する為, 根粒組織よりLb-mRNAを分離精製し, 逆転写酵素によりLb-cDNAの合成を試みた. 3)実際にLb合成開始のシグナルの存在を確認するため, Rhizobium trifolii4S(野生型)のDNAの制限酵素(Sau3A1)フラグメントをλ-phage headへパッケージング, E・coliに感染させた後に, tripareutal mating法により, 4S株由来の変異株であるQn1株(Nod^+, Lb^-, Fix^-)とconjugationさせた. 得たtransfarmantsを直接Trifolium repensの幼植物に接種したところ, Lb-ind gencは15〜30kbのサイズで, nod E, Fから上流へ少なくとも30kb以内に位置すると考察している. 本研究期間内に, レグヘモグロビン合成遺伝子の発現誘発に関する物質的裏付けには至らなかったが, 誘発シグナルの遺伝子の存在は確実なものとなった.
|