研究課題/領域番号 |
60540443
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
植物形態・分類学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
加藤 雅啓 東大, 理学部, 助教授 (20093221)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1986年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1985年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | ナガバノイタチシダ群 / 無配生殖種 / 雑種 / 不定芽 / 栄養生殖 / 起源 / 類縁 |
研究概要 |
網状進化は分岐的進化とともに生物の代表的進化様式である。無配生殖種は種間交雑によって生じる雑種が無配生殖を獲得するか染色体の倍数化によって形成する。この研究ではナガバノイタチシダ群の生殖を調べることによって無配生殖種の起源と類縁を明らかにしようとした。ナガバノイタチシダ群のうちナガバノイタチシダとイヌタマシダは有性生殖を行うのに対して、ミヤマイタチシダはその他に不定芽による栄養生殖を行う。この不定芽は葉身の未発達な退化葉上に一対生じる。不定芽は分離分裂組織的であり、その下の柔細胞群の脱分化が起り、その後分裂組織が拡大して頂端細胞を生じ、葉を分化させるシュートになる。このように芽は一部娘個体になる。全く同じ不定芽およびそれによる栄養生殖がナガバノイタチシダとミヤマイタチシダの間の雑種とコスギイタチシダにもみられる。その結果、無配生殖を行うコスギイタチシダはナガバノイタチシダとミヤマイタチシダの間の雑種から生じたことが支持される。これに対して、ミヤマイタチシダとイヌタマシダの間の雑種には両親種と同じく不定芽による栄養生殖は認められずF1雑種と推定される。一般に無配生殖種は有性生殖種に比べて遺伝的変異が少ないと考えられているが、変異に富むものもあり、コスギイタチシダもその例である。この種の場合、その前駆体と考えられる雑種が栄養生殖するため、複数回の交雑によって生じたものが維持され、そのいくつかから形成した可能性がある。
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