研究概要 |
1.Acetabularia calyculus,Acetabularia ryukyuehsis,Acetabularia acetabulumの三種のカサノリを用いて配偶子形成過程の核および細胞質の動態と、これにかかわる環境制御要因の研究をおこなった。核挙動はDAP1によるDNA蛍光染色法を用い、細胞質の動態は抗α-チューブリンによる間接蛍光抗体法を用いて観察した。今までは電顕切片による以外に配偶子形成課程を探る方法はなかったが本研究では上記の方法により核と細胞質の動態が明らかになった。一方、生態観察と室内培養条件のコントロールから配偶子形成を制御する光,温度条件を解析した。これらの制御因子と核・細胞質挙動とのかかわりあいを研究した。CAP-RAY内で核は均等分布し、一核を中心として微小管リングが形成され細胞質はシストに分割される。シスト内核分裂は核数38で停止し休眠する。15℃DarKで休眠が解除され配偶子形成へと進行する。本研究は生理学,形態学,生態学の接点を求めておこなわれた。 2.群体性緑藻ゴニウムの有性生殖に関する外的および内的制御の研究をおこなった。(1)群体構成細胞数が16でクローン増殖後も安定した新しいクローンを分離した。(2)配偶子形成には培地の窒素源の欠乏と光要求が制御因子であった。(3)増殖に要求される酢酸およびCaは有性生殖の初期過程である配偶子形成並びに性的凝集反応には必要ではない。しかし接合子形成へと生殖過程が進行すると酢酸とCaの要求性が認められることは、これらの要求性は性の過程でかわるものと考えられる。(4)ヘテロタリック株間での交配接合子から発芽した【F_1】株に高い頻度でホモタリック株が出現するという性様式の変換現象を見出した。この性の様式の変換は染色体の倍化によるのではなく減数分裂時の染色体の組み換えによって起ったと考えられる。
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