研究概要 |
1.日本産シロカネソウ属のすべての種について染色体数をしらべ、2n=36 と確立した。また、台湾産のDichocarpum arisanense とインド産のD.adiantifolium については、2n=26 と数えた。しかし、これらについては 2n=24 の可能性もあり、そうだとすると本属は基本数を6とする倍数系列をもつことになる。 2.ヨーロッパ産のIsopyrum thalictroides の染色体数をしらべ、2n=28 と決定した。本種の染色体数は今まで 2n=14 と報告されており、本種は種内倍数体を含むことが明らかになった。 3.シロカネソウ属の日本産のすべての種を含むキンポウゲ科の27属80種について、グルタミン酸脱水素酵素のアイソザイム分析をおこなった。その結果、キンポウゲ科では同酵素のザイモグラムはかなり多様であり、10の異った位置にバンドが現れることが明らかになった。メイン・バンドの位置はかなり安定しており、シロカネソウ連では、チチブシロカネソウ属、Dichocarpum arisanense とD.adiantifolium では4の位置に、日本産のシロカネソウ属の種では1,Isopyrum maushuricumでは8,ヒメウズでは7,オダマキ属の種では6の位置にメイン・バンドが現れた。 4.シロカネソウ属,ヒメウズ属,オダマキ属の花弁の発生の比較し、発生の初期はみな同じく平板状であるが、向軸面に横方向の隆起があらわれ、ついで両側が連なり、柄が伸長し、最後に距が突出する。これらの部分の発達の程度の違いにより、本連の多様な花弁が形成される。 5.シロカネソウ属では、トウゴクサバノオのほか、アズマシロカネソウとサンインシロカネソウも閉鎖花をつけるが、それらの閉鎖花はトウゴクサバノオほど退化的でなく、閉鎖花にもいろいろの程度のあることが明らかになった。
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