研究課題/領域番号 |
60540454
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
動物発生・生理学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
水野 丈夫 東大, 理学部, 教授 (50011490)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1986年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1985年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 前立腺 / 尿生殖洞 / アンドロゲン / アンドロゲン受容体 / Tfmマウス / 上皮・間充織間相互作用 / 誘導 / ステロイドオートラジオグラフィー |
研究概要 |
前立腺はアンドロゲンが尿生殖洞間充織にはたらき、尿生殖洞上皮より生ずる。アンドロゲン受容体を欠くTfmマウスでは、アンドロゲンがあっても尿生殖洞は前立腺を生じない。正常尿生殖洞の上皮とTfm尿生殖洞間充織を再結合し、アンドロゲン存在下に器官培養すると、前立腺は発生しないが、Tfm上皮と正常間充織との再結合片から前立腺が誘導される。 本研究では次の諸点が明らかにされた。(1)Tfmマウスの尿生殖洞上皮と正常雄ラットの尿生殖洞間充織を結合培養し、アンドロゲン存在下におけるアンドロゲンレセプター分布を調べたところ、受容体は間充織にのみ局在しており、上皮には皆無であったが、前立腺芽が誘導された。(2)上記再結合片を正常雄ヌードマウスの腎被膜下で培養したところ、前立腺のほか、貯精襄、尿道腺などが発生するのがわかった。これらの腺上皮が間充織片に由来するコンタミでないことは、マウス核とラット核の識別により明らかである。(3)ここに生じた前立腺は、正常のものに比し、やや結合組織に富むものの多くの腺腔をもち、正常前立腺と同様に、上皮はエステラーゼ活性を、また、間充織はアルカリ性フォスファターゼ活性を有しており、機能的にも分化していることがわかった。この場合もアンドロゲン受容体は間充織にのみあり、上皮には存在していなかった。(4)電子顕微鏡により、再結合片の上皮を観察すると、誘導された前立腺上皮細胞は、正常のものに似て、分泌果粒やゴルジ体を有していた。 以上の結果は、前立腺の発生にアンドロゲンは必須であるが、尿性殖洞上皮へのアンドロゲンのとりこみは不要であることを示している。
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