研究課題/領域番号 |
60540513
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
鉱物学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
藤巻 宏和 東北大, 理学部, 助手 (90133933)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1986年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1985年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | チタン鉄鉱 / 磁鉄鉱 / 地質温度計 / 酸素分圧計 |
研究概要 |
本年度は今までの鉄-バナジウム-シリカにチタンを加えた系の実験を完成させた。昨年度の結果と本年度の結果を解析し、マグマ、磁鉄鉱、チタン鉄鉱三者が全て理想溶液であると仮定し、バナジウムの分配系数の温度、酸素分圧依存性を数式化した。それを天然の岩石に適用して妥当性を検討するために、磁鉄鉱、及び磁鉄鉱とチタン鉄鉱を斑晶として含む岩石試料を収集しそれ等の鉱物と石基を分離し、主化学組成とバナジウムの濃度を定量分析した。その結果、共存する磁鉄鉱とチタン鉱鉄から求めた温度及び酸素分圧とバナジウムの分配を利用して求めたものとの間に系統的な差が認められた。バナジウムの分配を利用する方法の結果は、温度が高く、酸素分圧は多少低くなった。但し酸素分圧の差は極めて小さい。ところが、他の地質温度計を用して求めた温度は、本実験で求めたバナジウムの分配を利用した結果にほぼ一致しており、この差異の原因の究明は次の計画の準備が必要である。本来バナジウムの分配に関与しているのは3価だけであるから、この分配を利用して、温度と酸素分圧を同時に求めるという方法にも問題はあるものの、磁鉄鉱とチタン鉱鉄のウルボスピネルと、ヘマタイトを利用する方法に比べて、溶岩の冷却過程で元素の再分配がおこらないため、より高温の状態を保っているので、本実験結果から得たバナジウムの分配を利用する方が、より実際に近い温度を示していると考えられる。しかしながら、実験では主化学組成が分配に大きな影響を与えることが明らかとなり、適用可能な岩石はソレアイトまたはカルクアルカリ岩系の石英安山岩、流紋岩等の限定された化学組成を持っている岩石に限られている。
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