研究概要 |
1.近畿北部に分布する新第三系は下位より, 中新世の北但層群, 鮮新世の照来層群である. (1)北但層群は下位より, 高柳, 八鹿, 豊岡, 村岡・網野, 丹後累層に区分される. (2)照来層群は, 基底礫岩層, 歌長流紋岩類, 湯谷礫岩層, 春来泥岩層, 寺田火山岩類に区分される. 2.(1)八鹿累層は下半部は火砕岩, 上半部は塩基性溶岩を主とする. 浜坂・八鹿町地域では, かんらん石・普通輝石玄武岩, 丹後半島中央部ではかんらん石玄武岩が発達する. (2)豊岡累層堆積時には, 丹後半島北東部で流紋岩(日出流紋岩)の活動, 網野累層堆積時には, 丹後半島北東部で玄武岩〜安山岩(菅野安山岩)の活動に続き, 流紋岩の活動(本坂流紋岩)があった. (3)丹後累層は, 石英安山岩(中浜両輝石安山岩)の活動で特徴づけられる. (4)照来層群は初期に流紋岩, 後期に玄武岩〜安山岩の活動があった. 3.(1)八鹿累層の玄武岩はソレアイト質からアルカリ岩質にわたるものが活動した. (2)網野累層, 照来層群の玄武岩はソレアイト質である. (3)網野・丹後累層の安山岩・石英安山岩はソレアイト質であり, 照来層群の安山岩はカルクアルカリ岩質である. (4)近畿北部地域でアルカリ玄武岩類は, 更新世になって玄武洞, 扇ノ山, 神鍋山等で活動し始めた. (5)八鹿累層の玄武岩はHFSEに乏しいのに対し, 照来層群の玄武岩はHFSEに富み, 両時代のマントル組成に差異があることを示している.
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