研究概要 |
成人男性の7つの四肢筋群について、最大随意筋力の5,10,15,20,30,40,50%の各収縮強度で等尺性収縮を持続させ、「だるさ」及び「痛み」の自覚症状出現時点と、収縮最大持続時間を記録した。収縮が45分に達したときは、45分で収縮を打ち切った。 最大随意筋力(MVC)に対する相対的筋力(F%MVC)とだるさ及び痛み発現までの時間、或いは収縮最大持続時間(T分)との関係を、logT=a+blog(F-k),0≦k≦30の式にあてはめ、各筋群ごとに最もよく適合する式を求めた。収縮最大持続時間に関する式における定数k,a,bはそれぞれ、肩関節外転筋については3,2.02,-1.22で、肘関節屈筋については0,4.33,-2.52で、肘関節伸筋については2,3.05,-1.81で、膝関節屈筋については0,3.05,-1.63で、膝関節伸筋については8,1.96,-1.23で、足底屈筋については0,4.53,-2.47で、足背屈筋については0,4.51,-2.48であった。痛み発現時に関する式におけるこれらの定数はそれぞれ、肩関節外転筋については2,1.64,-1.09で、肘関節屈筋については0,3.33,-1.99で、肘関節伸筋については2,2.25,-1,43で、膝関節屈筋については0,2.94,-1.78で、膝関節伸筋については8,1.35,-0.96で、足底屈筋については0,3.88,-2.16で、足背屈筋については0,3.90,-2.24であった。 本研究において調べた筋のうち、最も疲労し易いのは肩関節外転筋である。最も疲労し難いのは足底屈筋と足背屈筋であり、肘関節屈筋がこれらに次いで疲労し難い。膝関節伸筋は高い収縮強度では比較的疲労し易いが、低い収縮強度では比較的疲労し難いという特徴を示す。逆に、膝関節屈筋は収縮強度が低くなると疲労し易くなり、肘関節伸筋と同じ程度の疲労性を示す傾向をもつ。
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