研究課題/領域番号 |
60550009
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
応用物性
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
西垣 敏 豊橋技科大, 工学部, 助教授 (60126943)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1986年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1985年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 準安定原子 / 準安定原子脱励起分光 / ペニングイオン化 / 半導体表面 / 吸着 / シリコン / アルカリ金属 |
研究概要 |
ヘリウム準安定励起原子(【He^*】)の表面での脱励起(オージェ過程)を利用して、表面最外層の電子状態を選択的に検出する電子分光法を開発した。更にこれをSi清浄表面と金属原子吸着表面に応用し、表面と【He^*】の間の電荷移動・交換メカニズムの究明、及び吸着表面の局所的仕事関数や吸着原子の上の局所的電荷状態を解明した。 1.飛行時間型準安定原子銃の製作: Heをパルス放電で励起し、【He^*】と同時に生成される真空紫外光(21.2eV)を、両者の飛行時間の差により分離した。【He^*】の速度分布はほゞマックスウェル則に従った。これにより、準安定原子脱励起分光と光電子分光のスペクトルの、同一表面・同時測定を可能にした。 2.Si(111)表面での【He^*】の脱励起メカニズム: この清浄表面(7×7面)から得た準安定原子脱励起スペクトルにより、【He^*】はまず表面との間の共鳴トンネルによってイオン化され、更にオージェ電子を出して中性化されることが判った。そのスペクトルが、従来のイオン中性化分光と比較された。 3.アルカリ原子吸着の研究: Si(111)7×7表面へのLi吸着過程を、ヘリウム準安定原子を用いて調べた。まず、【He^*】が、巨視的な平均仕事関数ではなく、【He^*】の接近している位置での局所的仕事関数を感じて脱励起されることを見出した。Li吸着の開始直後(孤立吸着原子と見なせる状態)からすでに、Liの2s価電子が、準安定原子脱励起スペクトル上に明確なピークとして出現した。これは、Li-2s軌道が完全にイオン化しているのではなく、部分占有状態にあることを示す確固とした証拠である。
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