研究概要 |
本研究では, その目的とするIΩ/□以下のシート抵抗を有する透明導電膜の実現のため, 各種透明導電膜の物性を理論的並びに実験的に解明しつつ, 材料および作成技術等の開発を進めて来た. 最終年度である今年は, これまでの研究成果を基礎として, 経時安定性や耐熱性等実用試験を実施すると共に, 抵抗率(ρ)および光学的吸収係数(α)の要求条件を満たす透明導電膜の設計方法を確立することによって, IΩ/□以下のシート抵抗の透明導電膜の実用化について検討した. 具体的には, 実用試験を行った結果問題を生じた耐熱性, 耐零囲気性および経時安定性を解決する手段として, ITOやZnO系透明導電膜上に酸化錫(SnO_2)膜を積層するための, SnO_2膜の低温作成を試みた. さらに, 透明導電膜を形成する基板の表面状態によって作成された透明導電膜の特性がどのように影響されるかを検討した. また, 各種透明導電膜とAg膜との多層化を試み, ρとαの条件を考慮することによって実現できる透明導電膜特性の設計方法を検討した. 以上の結果, ほぼ当初の計画通りの研究成果を得ることができた. 1.100℃以下の低温基板上に, これまでに報告されている中の最低値である1.9×10^<-3>Ωcmの低抵抗SnO_2膜の作成に成功した. 2.基板表面の凹凸は作成した透明導電膜に対し, 膜厚分布や結晶性の低下をもたらし, 電気的特性に大きく影響することが分かった. 3.Agと各種透明導電膜との多層膜によって, IΩ/□以下のシート抵抗が平均可視光透過率80%以上で実現できた. 4.12月インドのニューデリーで行われた第7回薄膜国際会議に参加し, 本研究でこれまで得られた研究成果を3件発表した.
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