研究課題/領域番号 |
60550035
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
応用物理学一般
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
長谷川 高陽 愛媛大, 理学部, 助教授 (10029879)
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研究分担者 |
松沢 喜一郎 愛媛大学, 理学部, 教授 (40036182)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1986年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1985年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 超音波 / 音強度 / 音響放射圧 / 近距離音場 / 回折効果 / フレネル回折 / 散乱 / 円形振動子 |
研究概要 |
近年主として工業規格制定および人体への危険防止上の見地から、超音波機器の出力の絶対測定技術の確立が急務とされている。従来採用されて来た超音波強度決定法はすべて超音波の球面波性ないしは平面進行波性をその前提条件としているのに反して、現実の測定条件や使用環境はむしろ、より複雑な近距離場に属することが多い。本研究はこのような近距離場における超音波強度決定に関する理論の開発とその実験的検証を目的として行われた。 多くの場合、超音波は円形の振動子から放射される。しかし従来から振動子の近くの音場は極めて複雑とされ、特に超音波振動数ではこれを解析的に計算することは殆んど不可能とされていた。本研究ではこれに関する厳密解法の発見に成功した。それによれば任意の円形振動子の呈する速度ポテンシァルは、なんらの数値積分を用いることなく、球面関数の級数和で与えられ、その結果は超音波振動数でも急速に収束することが判明した。ついでこの理論を用いて音場におかれた弾性球による超音波散乱の理論を開発した。さらにこれを用いて球体に作用する音響放射圧の計算に成功した。このように近距離場におかれた球による散乱およびこれに作用する音響放射圧の計算が可能になったことは画期的なことである。この結果、球に作用する音響放射圧を測定することによって、その点の音強度の絶対値が決定されることが判明した。本研究の理論的根拠はこれら三つの理論であるが、これらはすべて実験によってその妥当性が検証された。ここで注意すべきことは、球に作用する音響放射圧の大きさが、球の物理的性質に大きく依存し、顕著な周波数特性の差異を示すことである。音強度測定用の球材料としては、その周波数特性が平坦であるものが望ましいが、本研究の結果、その目的に最も適合するのはベリリウムあるいは溶融石英であることが、詳細な数値解析と実験の示す結論であると判断した。
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