研究概要 |
本研究はFMS(Flexible Manufacturing System)を対象とし、形状加工処理システムの機能の分析を詳細に行ない、この分析結果を基にして総合CAM(Computer Aided Manufacturing)システムの基本構造の提案と具体的システムの開発を行なった結果についてまとめたものである。 FMSは種々の形状加工に対応できるハードウエア機能を持っているがCADで設計された幾何形状データから必要な加工手順,工具選択,NCデータの生成,加工ステーションへの仕事の割当て,スケジュール等を総合的に処理するCAMシステムはいまだ実用化されていない。そこでFMS用総合CAMシステムを構築する為に、形状加工処理における処理プロセスを系統的に解析し、幾何モデルが有すべき条件とCADとCAMの接続を可能とする具体的幾何モデルとしてセル構造化幾何モデルの提案を行ない、モデルの生成方式、ソリッド・モデルから面モデルへの変換手順を明かにした。 次に機械加工は面創成機能としての加工作業の時系列的積集合操作と考えられ、この過程を逆向き推論する工程設計の問題は、与えられた幾何モデルの加工作業に対応する部分境界面への分解・編集問題と考えられる。従って、総合CAMシステムは与えられた幾何モデルから加工に関する知識をベースに部分境界面への分解を可能とする機能を持たなければならない。すなわち、CADシステムで作られた幾何モデルを加工レベルから見た加工面の分類、例えば、穴,2次元輪郭面,3次元曲面を作業者が計算機システムと対話的に処理し、それぞれに必要な工具,NCデータ等を生成する対話型工程設計支援CAMシステムの基本機能設計を行なった。 最後に、実際にセル構造化幾何モデルの為のモデリング・システムと階層処理CAMシステムの開発を行ない、形状のモデリングから形状加工まで一貫して行なえることを確認した。
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