研究概要 |
焼結材は一般に切削しにくく難削材の一つに数えられている。この焼結材に非金属物質を添加して切削しやすくするのが本研究の目的であった。まず、添加する非金属物質としてガラス,窒化ホウ素,タルクの粉末が快削性を与えることは本研究に着手する前から5著者によってすでに確かめられていた。そこで、どの程度の粉末を添加すればよいか、2つの焼結材の場合について調べ、以下のような研究成果を得た。 (1) 焼結材が純鉄粉の場合、最も効果のあるのはガラス粉で、工具寿命を50〜120倍伸ばすことならびに窒化ホウ素,タルクも工具寿命を伸ばすこと(この3つの点については本研究補助金を得る前にわかっていた)を再確認した。 (2) 焼結材がステンレス粉の場合、最も効果のあるのは窒化ホウ素である。窒化ホウ素とガラスを適切な量だけ同時に添加すると、工具寿命は300倍程度伸ばすことができる。 (3) 焼結材が純鉄の場合も、ステンレスの場合も、3つの添加粉とも、焼結材の引張強度を増加させる効果があることがわかった。また、衝撃強さはあまり向上しない。 (4) EPMA分析により、快削性を与える原因は添加物の潤滑作用にあることを示した。 以上のことから、ガラス,窒化ホウ素,タルクを添加すればどの程度の焼結材が作れるかを示すことができた。
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