研究概要 |
1.まず脈動周波数が平均バースト周波数に比べておよそ1桁から2桁小さい円管内脈動流れの入口領域に現われる乱流スラグの一般的特性に及ぼす非定常性(加速度:脈動周波数と速度振幅比)の影響を熱線風速計で調べた。 (1)スラグには2種類あり、加速度が比較的小さいときには定常流と同様に軸方向に生長するが、加速度が比較的大きいときには再層流化する。(2)スラグの存在領域は流れの非定常性によって特定の位相と場所に固定される。(3)スラグの初生は加速度が比較的大きい場合は速度の最小となる位相近傍でおこり、一方加速度が比較的小さい場合には速度が最大となる位相近傍でおこる。(4)本実験範囲のスラグが軸方向に生長する場合の前縁と後縁の伝ぱ速度は定常流の伝ぱ速度に等しい。(5)スラグの存在位相帯が軸方向に変化しなくなるまでの距離すなわち遷移距離は脈動周波数が高いほど短かい。(6)再層流化しないスラグの初生時の乱れ強さはr/R【〜!〜】0.7〜0.8にピークを持つ。(7)スラグ外部の層流域の速度分布はオセーン近似に基づく解析解でよく表される。 2.つぎに再層流化するスラグの初生時と消滅時の乱流構造を3方向乱れ成分u',v',w'の測定と4象限分類に基づく条件付抽出法で調べた。(1)スラグの初生時にはEjectionとWallward interactionが重要であり乱れエネルギ,レイノルズ応力への寄与において大部分を占める。(2)消滅時にはSweepとOutward interactionが重要であり、低速流体の強い吹き上がりによる乱れの発生は急激になくなる。(3)スラグが管横断面を埋めつくすと、乱流構造は定常流の乱流構造に等しくなる。 3.今後再層流化しないスラグの初生時の乱流構造を調べるとともに、スラグ内部の乱流構造を十分発達した構造と比較しつつ解明したい。
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