研究概要 |
流動層型熱交換器の熱的性能を改善するために、低密度粒子を用いた浅層型の浮遊系流動層の伝熱特性について詳細な検討を行った。使用した粒子は、主としてポリスチレン中空球、伝熱管は円管および矩形管で、特に後者は管間での粒子の安定浮遊と管配列の稠密化をめざしたものである。実験は、粒子径および物性,静止層高,伝熱管高さ,管形状,管ピッチおよび流速を系統的に変化させた行った。また表面形静電容量プローブを用いて浮遊粒子密度を測定し、伝熱機構についても検討した。以下に得られた結果を要約する。 1.平均熱伝達率は、静止層高≧伝熱管高さになると、それらに無関係になる。 2.平均熱伝達率は、管ピッチがせまくなると管まわりの局所流速が増加し、浮遊空間が狭くなるため、熱伝達率は低下する。 3.平均熱伝達率は、円管の方が少し矩形管より高い値を示す。しかし圧力損失を考慮した熱的性能評価では矩形管の方がよい。これは、矩形管の方が稠密な管配列ができ、然も管配列の稠密化に伴う圧力損失の増加が、粒子挿入に伴う圧力損失の増加に比して極めて小さいためである。 4.粒子の浮遊状態は、流速と粒子径に大きく依存し、希薄な相と密な相が形成される。 5.熱伝達率は、浮遊粒子密度の平均値,RMS値および変動周波数によって影響される。ただしこれらの因子は必ずしも相乗効果とはならない。 6.局所熱伝達率は、後方領域においてかなり改善される。 7.伝達機構としては、希薄な相の表面更新が最も効果的であると考えられる。
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