研究概要 |
実験に用いる作動流体が空気であるところから伝熱面表面となるアルミ箔の放射率を測定して、この値を0.44と決定できた。高さ=1m,幅=0.5m,伝熱面間隔=0.05〜0.25m可変とする密閉空間をもちいて冷却側の条件(空冷)を考虜した熱輸送における渦形成の効果を検討した。 ビデオ録画の解析によって渦および脈動の属性を示す、大きさ〜振巾,周期,波長のデータを得た。境界層外縁の速度変動を圧力変動に転換させるモデルは特性曲線法に対して、緩やかな境界層の発達は期待できないことを数値的に見いだし、これは伝熱面に向かう流れが考虜できないためであることを結論した。これに加えて、境界層外からの渦流れの干渉が境界層内の温度分布の発達に影響をおよぼしていると考える必要があるという結論を得た。特性曲線法をもちいる計算法を採用するためには、この2点がパラメタとして含まれる工夫を要するであろうと考えている。 渦形成の前駆現象となる境界層外縁の脈動については、自由対流における層流から乱流への遷移を考察した 藤井の理論を踏襲して、実験データによる脈動の属性を用いる解析によってその発生エネルギーの説明ができることを見いだした。 熱伝達係数の無次元整理に用いられる代表寸法は流れの領域の類別が簡明にできる方策の採り方によって決まるものであるべきものと考えているが、この類別はプラントル数によって異なるのではないかと考えている。定常状態に対する計算機シュミレーションの結果のなかに、空気を作動流体とする場合、伝熱面間隔が代表寸法として適切であるという結論が得られる見通しが示されていることを指適しておきたい。
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