研究概要 |
1.モータの遅れ、制御用マイクロコンピュータの計算時間を考慮したロボットダイナミックスの精密なシミュレーションにより、ステップ状に出力を変化させる方式では、チャタリングが発生し、高精度なハンド軌跡制御が行えないことが判明した。そこで、ステップの高さをチャタリングが許容できる範囲内に小さく設定し、その平均出力からスライディングモードの等価出力を推定し、これをステップ出力に加えて広範囲の負荷変動に対応できる新しい制御アルゴリズムを提案した。このアルゴリズムによるスライデイングモード発生条件を理論的に明らかにした。シミュレーションと実験により、従来の方式に較べ、ハンドの軌跡精度が充分に改善されることが示された。同じ精度であれば速度を高めることが可能になった。 2.モータ制御のスイッチングトランジスタをマイクロコンピュータで直接に制御し、プラス電流モード,マイナス電流モード,オープンモード,逆起電力ショートモードとそのデューティレイトを、電流と回転速度情報からインテリジェントに決定する制御方式を開発し、約24%の電力節約に効果があることを示した。 3.モータPWM制御のデューティレイトの最大値を示すものが常に0.5程度に保たれるように、加速度,速度,減速度を調整する方法を提案し、シミュレーションによりこの方法が動作速度の向上に大いに効果があることを確認した。 4.多関節マンピュレータのハンド位置、姿勢から各関節角を高速で計算するマルチマイクロプロセッサを開発し、MIMD型並列処理により計算速度を約5倍向上できることを示した。6関節マンピュレータに上記スライディングモードを適用しても有効に動作することを確認した。
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