研究概要 |
電力用半導体デバイスとくに自己消弧形デバイスのスイッチング特性を数値解析する新しい手法を導くとともに, これらのデバイスの特性と素子構造の間の重要な関係を明らかにした. 計算手法の独創性は, (1)不均一・可変メッシュの導入, (2)2次元モデルによる擬3次元解析の実行の二つに要約される. ともに半導体素子のスイッチング時の内部状態の変化に対する考察から, 半導体素子の動作状態に対応し収束性が最も高いメッシュ構造と半導体内の位置が局限されると推定し不均一かつ可変のメッシュ構造を導入して解析することを行った. この結果計算時間は従来に比し, 約40-50%短縮することが可能になり, スーパーコンピュータの利用により, 合理的な計算費用の中でこのような解析手法が十分に設計支援に用いられることが示された. さらに3次元構造をもつデバイスであっても, 素子製造プロセスと設計上の制約から特定の時点の現象は特定の内部状態で一様であるという性質を用いて, 2次元モデルをこれらに局限して適用し, それらを過渡現象の進行に応じて切換えれば擬3次元解析が可能となる. これらの手法は実際に静電誘導形サイリスタ(SITh)とアノード短絡形GTOに適用され, いくつかの実用上重要な知見がえられた. これらの中で代表的なものを列挙すれば (1)SIThの埋込電極内へのキャリヤの浸透 (2)ターンオフデバイスのテイル期間およびテイル電流の大きさへのベース構造との依存性 (3)アノード短絡サイリスタでの短絡とライフタイムのトレードオフ
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