研究概要 |
本研究は巨大垂直磁気異方性をもった軽希土類-鉄属合金垂直磁化膜を高周波スパッター法により作製し, その磁気的, 磁気-光学的性質を調べ磁気-光機能素子としての知見を得ることを目的としている. 補助金交付3年間においてNd, Prの軽希土類を主としそれらのFe, Coとの合金非晶質膜の磁気特性, 特に垂直磁気異方性の組成, 温度依存性及び磁気-光学特性の組成, 波長依存性を系統的, 実験的に行った. 得られた主な結果を以下に要約する. i) (Nd, Pr)_x(Fe:Co)_<100-x>合金非晶質垂直磁化膜を蒸着時期板温度を150〜280°Cに保つことにより10【less than or similar】【less than or similar】0の範囲で作製することができた. ii) これら合金膜の室温における垂直磁気異方性定数KuはXが40at%付近で最大となり, Nd・FeCoの場合Ku=1×10^7erg/ccという非常に大きな値をとることがわかった. iii) このKuは湿度の減少と共に単調に増加し, 70K付近以下において減少する傾向を示す. このことは強磁場下における磁化曲線の測定結果から考えると垂直磁気異方性の分散によるものと結論づけられる. iv) このように非常に大きな垂直磁気異方性を示す非晶室合金膜の磁気-光Kerr回転角は波長800mm付近で0.4〜0.5°と大きく, 波長の減少と共に増加することがわかった. この波長依存性はNd, Prの4f2ピンの分極したエネルギー準位のフェルミレベルからの位置と密接に関連しているものと思われる. この傾向は重希土類非晶室合金膜のそれと反対の傾向であり, 本発見は本研究の大きな結果である. v) (Nd, Pr)-(Fo, Co)にTbを10at%程加えることにより磁気-光機能素子としてより最適な特性を得ることができた. 以上のことから 軽土類-Tb-(Fe×Co)合金膜は磁気-光機能素子として非常に有望であると結論づけられた.
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