研究概要 |
不純物を含む薄い膜を半導体表面に密着(スピニング法,CVD又は真空蒸着法など)してつける。薄い膜には不純物としてリン(P)をドープしたものとホウ素(B)をドープしたものを、P形基板のSiの表と裏にそれぞれ塗布した場合を例にとる。ドープド薄膜を塗布した後に、ハロゲンランプを光源とする炉中にSiウエーハを設置し、ウエーハの上下の両方向より光を照射して加熱する。この加熱処理により【n^+】【PP^+】構造の裏面電界効果形Si太陽電池の製作を可能にした。この裏面電界効果形太陽電池は、従来の方法で行う場合は、イオン注入技術を用いるか又は拡散技術を用いる場合には、太陽電池の製作工程に時間がかかる。本方法で製作したSi太陽電池の高効率化の為の接合深さの最適化をはかるために、ホール効果測定と陽極酸化の組合せ測定とSIMS測定により、受光層のキャリア濃度又はリン(P)濃度の深さ方向分布を測定した。その結果、光拡散工程に於ては加熱による上昇温度のみならず加熱の速度(ヒーティング率)が、接合の深さを決定することを見出した。多結晶Siウエーハ内のグレインの分布とライフタイム及び太陽電池の特性との関連についても調べた。化合物半導体への"光拡散技術"を用いた太陽電池の試作は、混晶半導体(GaAsP)については素子を試作し、効率10%が反射防止膜なしで可能であることを確認した。GaAsへの不純物(Te)の拡散は、半絶縁性のGaAsに適用できることを見出した。拡散された不純物によるキャリア濃度の深さ方向の分布は、電解液をGaAs表面のショットキー電極としながら、エッチングの各時点で測定を行った。TeはS・I-GaAsに光拡散することを見出した。この技術は、今後の新しい半導体デバイス開発に大きなインパクトを与えるであろう。
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