研究概要 |
1.システムの入出力信号が確立過程のとき, その伝達関数はスペクトル推定, 線形予測法などで求められる. 本研究ではARMAモデルの係数を適応的に求めるMISを開発した. MISによってARMAディジタルラテイスフイルタを高速算法で構成できる. この構成法は従来のものにみられない特徴がある. すなわち, 直交関係, 従来のものを一般化したと考えられる新しい評価基準, 規格化によって得られる安定判別法などにより, AR次数とMA次数を別々に増加させることができる. またシストリックアレイとして並列処理が可能となるアルゴリズムを提案し, ARMAラティスディジタルフィルタの高速構成を可能にしている. 2.適応ディジタル信号処理に適しているARMAディジタルラティスフィルタの合成に回路網理論を応用している. すなわちアナログ回路である分布定数回路とウェーブディジタルフィルタとが等価であり, それらはARMAディジタルラティスフィルタに等価なことを示している. その等価性を利用して次の構成が可能である. すなわちインパルス応答と共分散関数とが与えられるなら, それらを補間するフィルタおよび最小2乗近似フィルタをそれぞれARMAディジタルラティスフィルタとして構成できることを示している. 3.複素係数ディジタルフィルタの関心が高い. 本研究ではアナログ回路とディジタルフィルタとの等価性を用いて複素係数アナログ回路の特徴を求めている. すなわち, 複素係数フィルタと通常の実係数フィルタとの違いは反射係数にあることを示し, 複素アナログ回路の基本素子を求め, それで構成される回路として複素分布定数回路を提案し, それにダーリントンの回路合成法を適用して任意の受動伝達関数を合成し, それをディジタルフィルタ化している.
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