研究課題/領域番号 |
60550242
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
電子通信系統工学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
今泉 敏 東大, 医学部, 助教授 (80122018)
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研究分担者 |
新美 成二 東京大学, 医学部・音声言語医学研究施設, 助教授 (00010273)
桐谷 滋 東京大学, 医学部・音声言語医学研究施設, 教授 (90010032)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1986年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1985年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 声質 / 空気流体力学的現象 / 音声生成モデル / 声道の三次元形状 |
研究概要 |
本研究は従来殆ど解明されていなかった音声の様々な声質の生成機構を明らかにすることをめざして、次の3項目について基礎的検討を行った。 1.声道内での空気流速と音圧分布の計測方法を開発する。2.声道の3次元形状の計測を行いそれに基づいてより実体に近い音声波生成過程のモデルを作成する。3.様々な声質、特に病的声質の音響的成因を解析し、それらの生成機構を解明する基礎的資料を作成する。まず、発声中の声道内での空気流速と音圧分布の測定を熱線流速計と超小型マイクロホンを用いて試み、同時に、声門付近での現象を調べるために、声帯振動模型を作り、気流パタンの計測を行った。熱線流速計の特性に充分に留意しながら結果の解釈を行うならば、発声中の声道内の空気流速と音圧分布を計測することはある程度可能であることが示された。声帯振動模型実験からは、喉頭音源付近の気流の速度が60m/sにもなり、流線は空間的に限定されている可能性が示された。また、声道内での空気流速の測定では、硬口蓋付近の最大流速はたかだか1m/s程度であることが分かった。次に、核磁気共鳴断層装置による声道の三次元形状計測とそれに基づく音声波生成過程の解析を行い、生体に害を与えることなく三次元計測が可能であること、声道の三次元構造が伝達特性に及ぼす影響を定量化し得ることなどを示した。さらに、声質の音響的成因を明らかにするため行った、病的声質の計量心理学的評価実験及び音響分析では、基本周波数及び振幅、波形における変調の度合、加法的雑音成分の強さ、周波数スペクトルの特徴などを表すパラメータが声質の評価に重要であり、それらは特に粗造性や気息性、無力性などの声質に対応することなどが示された。今後はここで得られた基礎的知見を総合して、音声波生成過程のより実体に近いモデルを開発し、様々な声質の生成機構を解明していく予定である。
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