研究概要 |
本研究は, 逐次実行の従来の計算モデルに代わる超LSIの潜在的な情報処理能力を十分に反映する新しい計算モデルを設定し, 効率的なアルゴリズム設計に関する基本的問題に答えるものである. 超LSIの並列性を取り入れデータの流れを示すグラフとして超LSIの計算過程を表すことができる. 第1章では, この計算モデルで時間計算量と通信計算量の間の関係を論じている. 拡張グラフというある種の接続条件を満たす2部グラフをもちしてソーティングを効率的に実行する回路が設計できることが知られている. 第2章ではこの拡張グラフの具体的な構成法を与えている. また第3章では, 線形変換で表される接続関係を持つ2部グラフは拡張グラフにはならないことを証明する. 第4章では, 並列計算のひとつのモデルであるセル構造オートマトンでハードウェアアルゴリズムを実現する研究を解説している. 第5章では論理関数の増幅度という概念について論じている. 第6章では, 論理関数を実現する際の回路分割と必要ゲート数の関係を論じている. 集積度の増大と共に回路の正当性の検証という問題も重要な問題となるが, 本研究では入記法に基づく検証システムを設計した. 第7章ではこの検証システムについて論じている. また第8章及び9章では, 論理関数の複雑さの理論に基づき, それぞれ学習可能性の問題とデータセキュリティの問題を論じている.
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