研究概要 |
1.脳圧制御装置の構成 次の5つの部分から成る制御システムを構成した。(1)降圧剤の投与速度とその血中からの消失速度から血中濃度及び浸透圧を計算する部分,(2)同じく血液と組織間の移行速度から脳組織内の濃度,浸透圧を計算する部分,(3)前二者に脳圧亢進因子の浸透圧を加えて求めた浸透圧差から脳組織への水の移行量を計算する部分,(4)体積変化から脳圧を計算する部分,(5)投薬速度の計算を行う部分である。前4者はいわゆるオブザーバを構成し、第5の部分で最適制御を行う。本装置においては、モデルの精密化,パラメータ同定のオンライン化,制御方策における積分項の導入等が今後の課題である。 2.パラメータ同定法並びに脳圧亢進因子の推定法 パラメータ同定と亢進因子の推定は密接に関係しており、両者のオンライン化をシミュレーションにより検討したが、測定される脳圧のS/N比の関係から現状では、パラメータ同定はオンラインの方が安全であることが判った。亢進因子に関しては、リバウンド項を含めるかどうかが今後の課題である。 3.臨床応用 術後脳浮腫により脳圧の亢進した患者に対して本法を適用し、予期した結果を得た。今後は、脳圧計を組み〓んだコムパクトな装置を開発し、臨床応用を重ねることが肝要である。
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