研究概要 |
本研究は、応力集中部を持つ船体構造部材の疲労強度推定の資料を得るために行われたもので、弾性応力集中係数Ktが比較的小さい場合について、切欠底での弾性応力こう配Gが一定(切欠き底半径一定)でKtの種々異なる軟鋼SS41および高張力鋼HT50切欠き平板試験庁に対して、定荷重片振り引張り疲労試験を実施して、S-Nc線図(疲労き裂発生寿命Ncは【10^4】〜【10^6】の範囲)を求め、これにより、Nc一定に対する疲労強度とKtおよびGとの関係を明らかにした。以上求めた関係を用いて切欠き材の疲労強度推定について検討を行った。本研究で得られた成果を要約すると次のようになる。 1.著者の以前の研究では、Ktが大きい領域では、Kf〜Kt関係を、原点(0,0)を通る直線で近似しており、Kf<1となるKtが小さい領域ではKf=1としていた。しかし、本研究により、このKtが小さい領域ではKf>1であり、Kt=1,Kf=1の点を通る直線で近似できることがわかった。さらに、その直線の傾きはNCおよびGに関することおよび鋼種にはあまり依存しないことを見出した。 2.以上の結果をもとにして、Ktが小さい場合の切欠き鋼板の疲労強度減少係数Kfを推定する実験式を下式のように導いた。Kf=1+{(Kt-1)/(1+【d_1】【G^(h1)】)}【Nc^((d-2)(G^(h-2)))】ここに、【d_1】,【d_2】=指数,【h_1】,【h_2】=定数である。上式はGの値がさほど大きくない場合に使用することができる。また、上式は他の実験結果とも比較的よい一致を示した。 3.切欠き鋼板の引張り疲労における寸法効果の程度を表す寸法効果係数Ksを定義し、Ktが小さい場合にはKsが下式のようにGおよびKtの関数で表されることを示した。Ks=Kt/Kf
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