研究概要 |
本研究は鋼繊維および膨張材のそれぞれの長所の複合効果を期待して両材料を混入したいわゆる鋼繊維補強膨張コンクリートをはりあるいは床版等の鉄筋コンクリート部材に適用した場合, 曲げあるいはせん断耐力および疲労特性に関して基礎的重要な事項を明らかにし, コンクリート部材のひびわれ耐力等の改善に材料面からの方策を試みたものである. 本研究成果を要約するとつぎのとおりである. 1.鉄筋コンクリートはりの終局耐力の向上, ひびわれ耐力の増大, 曲げひびわれ幅およびたわみ量の低減に関して, 静的荷重下と繰返し載荷下とではより有効な鋼繊維の種類は異なり, 静的荷重下ではφ0.7×60mmの伸線加工鋼繊維の方が0.5×0.5×30mmのせん断加工鋼繊維よりも有効であるのに対して, 繰返し載荷下では逆の結果になる. 2.鋼筋コンクリートはりのひびわれ耐力の増大, びひわれ幅の低減およびたわみ量の低減には膨張材は有効である. 3.鋼繊維と膨張材の組合せは水中疲労下において鉄筋コンクリートはりのひびわれ幅の低減に著しい効果がある. またそれらの組合せの腹鉄筋としての働きはa/d=3.5のとき期待できるがa/d=1.5のときは期待できない. 4.鉄筋コンクリート床版の静的荷重下における押抜きせん断耐力の増大およびたわみ量の低減に対して鋼繊維と膨張材は効果がある. 改善効果はφ0.7×60mmの鋼繊維の方が0.5×0.5×30mmの鋼繊維より高い. 5.鉄筋コンクリート床版の低応力レベル繰返し載荷下におけるたわみの低減には鋼繊維は効果があり, その効果は0.5×0.5×30mmの鋼繊維の方がφ0.7×60mmの鋼繊維より大である.
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