研究概要 |
不飽和土の力学的性質を解明するには, その3相構造の特性を把握する必要があると考え, 第1に不飽和シルトの3軸圧縮試験による実験的研究を行うとともに, 第2に不飽和土中に発生する間隙水圧と間隙空気圧の挙動を実験と解析の両面から調べた. 得られた成果は特徴的な主要なものを列挙すると次のようである. (1)3軸試験における不飽和土の状態量の計測では, 軸圧, 体積歪, 間隙水圧, 間隙空気圧の諸量を試料の初期設定時から種々の補正(3軸セル自身のクリープ補正など)を行う必要がある. (2)フィルターを介して計測する負の間隙水圧, サクションは土試料の飽和度の多少に拘らず正しい. (3)不飽和シルトの等方圧, 体積歪, 間隙空気圧の間の関係は飽和度30〜50%までは固相と気相の2相混合体理論によって説明ができる. 飽和度が60〜70%を越す高飽和度では間隙空気圧と間隙水圧はほぼ等しい圧力となり, 等価間隙圧として扱える. (4)不飽和シルトの圧密では時間の対数に比例するようなクリープ的沈下が特徴的である. (5)コラープスは浸水により瞬間的に生じるので, 浸水部分と非浸水部分とでは歪発生に差が生じる. (6)非排水・非排気下では不飽和土のせん断強度は歪増分とともに間隙水圧部分が生じる飽和度40%以上で次第に低下する. (7)土を粒状体とみなして, 土の構造を2次元的に表現したモデルによると, 均等径から成るものに限定されているが, i角形要素の出現確率Piの分布によって構造を表現し, 粒子接点数や間隙径が間隙比の関数として表現される. (8)数種の砂質土の水分保持特性曲線を表現する2つの方法に現れるパラメータの大きさを算出し, 粒度と対比して示した. (9)不飽和土の透気試験により, 低圧力レベルではダルシーの法則が透気性においても成立すること, および透気係数は飽和度の関数となることを明らかにした. このときシルトでも, 豊浦標準砂でも飽和度が約60%で透気しない, 閉塞状態が生じる. (10)飽和度が高い土中では間隙空気圧の分布は飽和度の分布の影響を受け, 乾燥土のときの直線分布からズレが生じる. (11)土中の間隙水圧変化に応じて間隙水の移動が生じるが, それは間隙の水・空気の2相達成解析により説明ができる.
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