研究課題/領域番号 |
60550362
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
水工学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
高橋 保 京大, 防災研究所, 教授 (40027230)
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研究分担者 |
沢田 豊明 京都大学, 防災研究所, 助手 (60027258)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1986年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1985年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 土石流 / 泥流 / 発生機構 / ハイドログラフ / 渓床堆積物 / 天然ダム / 予測 |
研究概要 |
土石流ハイドログラフの予測は、土砂災害の予測、および災害の防止・軽減対策を樹立していく上で基本的な事柄であるが、従来 的確な理論がなく、不明なままであった。本研究は、実験と現地観測をもとに、実際の渓流で発生する土石流のハイドログラフを予測する手法を提示することを目的に行ったものである。まず、渓床堆積物が水流の影響を受けて土石流化する場合について、渓床勾配が場所的に変化すること、水流が上流端からのみならず両側岸から供給されて流量が場所的に変化すること、渓床堆積物中には巨礫を含む比較的大きい粒径の粒子と、土石流化した場合に、水の作用によって浮遊するような粒子成分とが含まれており、それぞれの構成比によって発生土石流の性質が変化すること、等を考慮に入れた土石流ハイドログラフ予測式を示した。本手法の妥当性は、その検討のために特別に作成された水路における実験結果に本式を適用することによって検証されており、さらに、コロンビアのネバド・デル・ルイス火山で発生した大規模泥流の流量の再現計算に適用して、現地調査の結果判明した最大流量や泥流の継続時間がうまく説明できることからも確かめられた。つぎに、実際の渓流で発生した土石流のハイドログラフが流下に伴って最大流量を減少させ、継続時間を増大させるような変形をする過程を定量的に予測する試みとして、キネマティックウェーブ理論を適用し、現地観測結果がよく説明できることを示した。さらに、崩壊土砂が形成した天然ダムの決壊によって発生する土石流の定量的予測の手法を明らかにするために、天然ダムの形成と破壊に関する実験を行ない、渓床勾配と水の流量、崩壊土砂量、渓流幅を用いた天然ダム形成限界式、天然ダムの形状特性を示した。また、実験領域ではダム決壊過程に2種類があり、どちらが生起するかによって、発生する土石流の規模が大きく異なること等も明らかにした。
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