まず、初年度においては、阪神高速道路の環状線と守口線の合流部における自然渋滞現象をビデオ撮影し、その再生画像を利用して、対象部分を10mごとに区切った各区間の交通密度と速度のデータを収集した後、単純連続モデル、Payne・モデルおよび明神モデルの3モデルの適合性と最良モデルを用いた自然渋滞防止対策の効果について検討を行った。その結果、モデルとしては単純連続モデルが最も適合性がよいこと、防止対策としては速度制限効果はほとんどないこと、流入制御により交通需要をカットする場合、環状線の交通需要の30%以内での削減は殆んど効果がないこと、これに対して守口線の交通需要削減については、20%削減で効果が現われ始め、30%削減で自然渋滞が解消することなどが判明した。 最終年度である本年度は、中央高速道路の上り勾配部とトンネル部における自然渋滞を対象に分析を行った。まず、上り勾配部については、具体的場所として51.5KP付近を選び、前年度と同様の検討を行った。ただし、交通流モデルとしては単純連続モデルとPayneモデルの2つのみとした。また、モデル的に自然渋滞を発生させる方法としては、再生画像の観測等の結果をもとに、上り勾配による影響を受ける区間の速度-密度関係を他の区間と異ならせるという方法を取った。モデルの適合性の検討の結果、やはり単純連続モデルの方が優れていることが判明した。渋滞の防止対策としては速度制限は効果がなく、交通需要の削減であれば10%カットで十分な効果があることがわかった。トンネル部の具体的対象としては小仏トンネルを選び、入力需要のみ実測データとして単純連続モデルで上り勾配部と同様な分析を行ったが、この場合には速度制限が著しい効果をみせた。その他の方策としては、ランプにおける信号制御は効果がなく、人工的ボトルネック、需要削減はかなり有効な手段であることがわかった。
|