研究概要 |
実大のカンティレバー型鉄筋コンクリート造柱試験体(50cm×50cm)を用い、一定軸方向荷重下で静的交番繰返し加力実験を行った。軸方向荷量は75t(Fc/6)と112t(Fc/4)とし、2台のセンターホール油圧ジャッキで載荷した。水平荷量は油圧ジャッキで試験体に強制変位を与えることにより載荷した。塑性率は、柱主筋(8本)の歪度のうちいずれか1本でも予め引張試験で定めておいた降伏歪度域に達するか、又は、わずかに越えた時の降伏変位を基に定義した。水平荷量は、塑性率が0.5〜14の間を8段階に分け正負1回づつの漸増変位交番繰返し加力実験、及び5段階に分けて各段階毎に正負5回づつ加力した漸増変位交番繰返し加力実験を行った。 ひび割れ長さの測定は、加力中にひび割れを鉛筆でなぞっておき、1加力段階毎に透明アクリル板に写し取った。ひび割れを小さなリニアーセグメントの集まりとして捉え、始・終点の座標をタブレットディジタイザーで読み取り、各リニアーセグメントの長さと角度とを電算機により計算した。ひび割れが、柱高以上で発生していれば、その柱は塑性率1を経験していると判断出来そうである。試験体のひび割れ総長さは、塑性率の増大とともにほぼ直線的に増加しており、あらまし、塑性率1で約3m,塑性率3で約6m,塑性率5で約7〜10mとなる。ひび割れを水平・斜め・鉛直の3方向に分類し、方向別比率についてみると、塑性率2〜5では水平ひび割れが約30%,斜めひび割れが約55%,鉛直ひび割れが約15%とほぼ一定の比率になっている。ひび割れ面積率は、加力面,非加力面ともに同じような変化をし、塑性率1で0.4%,塑性率3で1%,塑性率5で1〜1.5%の値を示している。剥落面積率は、非加力面についてみると、塑性率5で1%,塑性率10で5%,塑性率14で10%の値を示しているが、加力面では、非加力面よりもやや大きいようである。
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