研究概要 |
鎖状粘土鉱物, とくにセピオライトの新しい利用の開発を目的として, いくつかの基礎的性質について検討し次のような結果を得た. 1.セピオライトの脱水機構: 脱水による構造変化, すなわち鎖状構造のfoldingは結晶全体にわたって均一に行われることを確認した. また, 結合水の第一段階の脱水速度はMgに配位する水分子の脱離速度に依存し, 第二段階のそれはfoldingした空洞から水分子が外部へ拡散する, その速度により決定されることを明らかにした. 2.セピオライトの表面化学的性質: (1)各地産試料について比表面積および細孔分布の測定を行った. 比表面積は443m^2/g(Imisehir)から231m^2/g(韓国)の範囲にあった. 細孔分布曲線はいずれの試料も細孔直径20〜30〓に鋭いピークが認められた. (2)これらの試料について「平衡法」により陽イオン交換容量を測定した. 溶液のpH=7において4.83meg/100g(Vallecas)から, 1.17meg/100g(葛生)の範囲にあった. 値はpHにより著しく変動し, セピオライトの陽イオン交換容量が結晶格子の末端に存在する破壊原子価に起因することが明らかになった. 3.セピオライトの酸処理: セピオライトの塩酸処理により非晶質珪酸ゲルを得た. 葛生産試料から生成した. Mgを完全に溶脱した珪酸ゲルについて比表面積470m^2/g, 平均細孔径33.3〓, 細孔容積0.51cc/gなる値が得られた. これらの性質は現在利用されている工業用シリカゲルの同様な性質とよく対応するので, 特徴ある繊維状形態に着目して工業材料として新しい利用の開発が期待される.
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