研究概要 |
Si半導体デバイスの高集積化が進み配線や電極部が狭く浅くなってきており, SiとAlなどの配線材料が固相反応を起して断線や短絡が起るという重大な問題に直面している. SiとAlの固相反応を抑制する手段としてTiNを拡散バリアとすることにより, この問題を回避することが可能かどうかを, 主として高温で起る固相反応とそのメカニズムを調べることによって検討した. 主な結論は次のとおりである. 1.TiNはAlの溶融点に近い650°CまでAlの拡散をほぼ完全に抑制しており, Alに対してきわめて有効な拡散バリアとして機能する. 2.TiN/Ti/Siの構造をとるときTiに(0002)textureを持たせることにより, Si基板との間でハクリしにくくなる. 3.TiNの組成をN/Ti>1.0から〜0.5まで変化させたとき〜0.65以上ではTiN単相であるが, それ以下ではTi_2Nとの混相となる. N/Ti0.8〜0.5のものは加熱によってTiN/Si界面でTiSi_2を形成する. まず準安定なC49構造のものが, ついでC54の安定相に変化する. 同時にTiN表面は金色に変化し, 平衡組成に変化する. 4.TiSi_2の形成によって, またTiN表面層が平衡組成に移行することによってシート抵抗は急激に減少する. また, 1000°Cでの加熱によってTiSi_2は(100)Siとエピタオシアルな関係を持つようになる. 以上の結果からTiNはAlに対する優れた拡散バリアであり, n型Siのみならず, P型Siに対してもTiN/Ti/Si系を用いなくてもTiN/Si系を加熱することによって, 不純物の問題を起しやすい界面を1つ減らして抵抗の小さいTiSi_2相を形成することができた. したがって, TiNはきわめて優秀な拡散バリアとして期待できる.
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