研究概要 |
ソーダ灰による溶銑の予備脱りん法では副反応としてのソーダ灰と溶鉄中の炭素との反応が避けられず、多量のガス発生を伴う。 本研究では、反応時のメタルおよびガスを適当時間毎に採取し、メタルについてはP,Cを、ガスについてはCO,【CO_2】成分を分析することで、脱りん反応におよぼす共存の炭素やSi【O_2】添加の影響を調べ以下の結果を得た。 1)Fe-Cとソーダ灰との反応では【Na_2】【CO_3】は部分的にNa(g)まで還元され、発生するガスはCOのみであった。 2)Pが共存する場合、初期の1〜2分間では脱りん反応が優先的に進行し、溶鉄中のP濃度が0.05%以下に低下した後、脱炭反応が急速に進行し、実験後期には復りんがみられた。 3)【Na_2】【CO_3】量を5から9gに増すと脱りん量が増大するが、さらに15gに増大させても、脱炭量が増すだけで脱りん反応はほとんど影響されなかった。発生ガスは4〜6%の【CO_2】と約50%のCOから成り、これらの値から推定される酸素分圧は【10^(-11)】atmで、溶鉄中の炭素との平衡値より高かった。 4)Si【O_2】を添加した場合、【Na_2】【CO_3】の添加量が同じでも、Si【O_2】を含まない場合に比べ脱りん、脱炭量がかなり低下した。発生ガスは4〜6%CO、約50%【CO_2】とSi【O_2】を含まない場合と逆の傾向を示した。これはフラックス内部で【Na_2】【CO_3】とSi【O_2】との反応が起こり、生成した【CO_2】はP,Cの酸化に利用されずに排ガスとして炉外にでていくためと考えられる。 5)上記の結果より、酸性酸化物を含む系では排ガスの【CO_2】/CO比よりフラックス-メタル界面の酸素分圧を推定することは問題があると考えられた。
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