研究分担者 |
成田 舒孝 京都大学, 工学部, 助教授 (10026213)
田辺 晃生 京都大学, 工学部, 助手 (90026237)
沢本 崇 京都大学, 工学部, 助手 (20026165)
倉知 三夫 京都大学, 工学部, 助教授 (40025870)
井ノ山 直哉 京都大学, 工学部, 助手 (40025979)
山本 悟 京都大学, 工学部, 助手 (80026210)
東田 賢二 京都大学, 工学部, 助手 (70156561)
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研究概要 |
オーステナイト型Fe-Si-Nn系新合金について研究した. まず, Fe-Si系合金は, 3wt%Si以上で急激に伸びが減少し, 5%Siでは伸びは3%以下に激減する. これは非常に脆弱α_1, α_2相が析出するためである. この系に15〜20wt%Muを添加し, 水靭すると大部分がγとして残留し, 伸びが15〜20%に改善されるが, これはγ相は多数のすべり面を有するためである. しかし引張り強さ70kgf/mm^2程度と平凡な値で, 耐熱性, 耐食性は普通の炭素鋼をやや上回る程度にすぎない. この系に, さらに, Crを添加し, 一部をマルテンサィト化して高強靭化した上, 耐熱性, 耐食性の向上を目ざした. その結果は引張り強さで120〜150kgf/mm^2, 伸び50%以上を得た. これと同様の組織の鍛造材は強度こそ90kgf/mm^2とやや低いが, 伸びは常温で, 60〜100%といった超塑性を示した. この現象は一種のTRIP現象であるといえる. しかし, この合金のUノッチ付衝撃値が39kgf/mm^2であり, また応力-歪曲線の温度依存性も-80〜+20°Cの温度範囲で余り変化のないことから, 狭い温度条件や荷重速度でみられるTRIP現象と同種のものといい切れない. とくに衝撃値が高い値であったのは, たとえば, 実用の薄板, 細線を製造できる可能性を示すものである. すなわち可成りの高速度の応力に塑性変形が追従できることであり, しかも大きな温度巾をもつことから, 実用できる新素材といえる. なお, このことは今後の研究の課題である.
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