研究概要 |
金属粉末の粒子表面には一般に酸化物が生成しているが、これは焼結体の性質に悪影響を及ぼすことが多い。そこで、粉末成形体の焼結に当たっては、難還元性の酸化物を生じる金属粉末については混合粉砕過程後の粉末表面の酸化の進行を抑制する事が重要となり、水素などによって還元可能な酸化物を生じる金属粉末については焼結の昇温の過程で成形体が緻密化する前に酸化物を十分に還元することが重要となる。前者の粉末表面の酸化の進行を抑制することを目的として、混合粉砕過程後の粉末の取り扱い雰囲気を、純度99%のアルゴンとし、かつ雰囲気温度を室温以下のマイナス40℃としたところ、チタン粉末については粉末の酸化量は通常の大気中での取り扱いの場合に比べて約70%となった。しかし、この値は期待値を遙かに下回った。そこで、次に、酸化物量が極めて多い金属超微粉について、その粉末成形体を焼結する場合、酸化物の還元を十分に行うと共に緻密でかつ超微細粒の焼結体を調製する為の研究を行った。その結果、(1)FeおよびCu金属超微粉(粒径はそれぞれ0.02,0.05μm、酸素量はそれぞれ15、6mass%)とそれらの混合粉については、残留酸素量が少ないと共に緻密な焼結体を得る為には、粉末成形体の相対密度および焼結の昇温速度のいずれも、普通粒度粉の場合に設定される値よりもかなり小さくする必要があること、(2)そのような焼結体の結晶粒径は0.3〜1.5μmであり、溶解材に比べてかなり微細であった。次に、難還元性酸化物を逆に積極的に利用し、【A1_2】【O_3】酸化物分散強化型金属をCu超微粉を用いて作成する為の研究を行った。その結果、(1)Cu超微粉の緻密化はある臨界の酸化物量以上で阻害されるが、その臨界量は酸化物粉の粒径が小なるほど減少する、(2)Cu結晶粒径は酸化物量と共に微細となる、ことが明らかとなった。
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