研究概要 |
複合材料の機械的性質は強化相の分散状態などの構造や組織に強く依存する. 高温用の複合材料では, 高温で長時間の加熱保持や熱サイクルなどの条件下で使用されることが多い. したがって, 高温用の複合材料は母相と強化相間の結合が強く, その間で応力伝達が十分行われることの外にその組織が熱的に十分安定であることが必要である. 本研究では種々の複合材料の高温下における組織安定性と異相界面構造および機械的性質との関係について調べることにより, すぐれた超高温材料開発のための指針を得ることを目的とした. 得られた成果は次の通りである. 1.熱的に安定でかつ非整合は異相界面構造を有する粒子を含む分散強化材では転位が異相界面によって吸引されるために, 粒子は転位運動の抵抗として有効に働き, 高強度の高温材料を得るのに遊離である. 2.Al-CuAl_2共晶ラメラー複合材では, 構成相がおたがいに個溶度を有するために, 等温加熱中に強化相はOstwold成長にもとづく粗大化をおこす. この傾向は強化相の配列形態の悪いものほど著しい. この組織劣化は強化相の配列形態を良くすることで改善される. 一方, M_o-Tic共晶ラメラー複合材では等温加熱による組織劣化は現われないが, 高温で異相界面すべりを生ずる結果, 高温強度は著しく低下する. 3.人工的に作成したCu-W積層強化型複合材料では, 構成相同志はたがいに固溶度を有しないけれども, 大きな熱膨張差のために, 熱サイクル条件のもとでは異相界面にボイド形成が認められ, 材料の強度は熱疲労によって劣化する. 4.以上のように異相界面は複合材料の高温における組織安定性と高温強度にきわめて重要な役割を演じている.
|