研究概要 |
逆相分配型HPLC〜吸光・蛍光検出法に対する適合性試薬の探索と、それらを用いた超高感度金属イオン定量法の開発を目的として以下の研究を行なった。 1.数種のベンゾイルヒドラゾン誘導体を合成し、HPLC機能性試薬としての特性を研究した。その中から様々な特性を有する試薬が発見された。【Al^(3+)】イオンの蛍光検出試薬として優れているもの【V^(5+)】イオンに対して0.1ppbの検出限界と鉄の妨害を受けない特性を兼ねそなえたもの【N^(2+)】イオンに特異的にピークを示すものなどである。それぞれの試薬システムについて、実用レベルの分析法を完成すると同時に、配位構造と溶出挙動との関係について検討を加えた。とくに【N^(2+)】特異性試薬にはキレート環中にα-ジクミン構造を有する必要があることを明らかにした。 2.2-(8-キノリルアゾ)-5,N,N-ジエチルアミノフエノール(QADAP)を用いて大気中のバナジウムの高感度、高選択的モニタリング法を開発した。シアノプロピル基結合型シリカカラム、アセトニトリル〜水移動相を用いて、V【O_2】-QADAPキレートだけをHPLC分離・吸光検出できることを利用し(検出下限0.08ppb)、雨水、大気浮遊粉じん中のバナジウムの定量法を確立し仙台市域において測定を行なった。本法はppbレベル以下のバナジウムを精度よく分析でき、原子吸光分析法では定量不可能な濃度領域において偉力を発揮する。本法は時間単位、日単位等の細かな大気汚染状況モニタリングシステムとして優れていることを明示した。
|