研究概要 |
新規な化学材料の開発に不可欠な新化学計測法の開発が強く要望されている。このような観点から非破壊計測法を前提とした新原理のプラズマ診断法の開発を目指した。すなわちレーザー光を用い、物質中に同一周波数のレーザー光を交叉させると、干渉パターンが生成する。この干渉パターン領域において、物質の光学的性質を反映する回折格子が、光と物質との相互作用の結果生成する。すなわち無放射緩和過程を通して発生する熱による熱的回折格子と熱発生に伴う物質の膨張及び収縮により発生する一種の局所的超音波の2種類が存在する。レーザー光交叉領域に発生するこの2つの格子、すなわちレーザー誘起回折格子を別のプローブレーザー光を用いて計測し、物質の吸光係数な屈折率,熱伝導度,音速,等の空間分布や時間変化を最終的にはプラズマへの応用を目指して基礎検討を試みた。 基礎実験の結果を述べると、水中のKMnO4溶液に対して、4.4μlの空間領域中に存在する15ピコグラムの物質が検出可能であることがわかり、本法が高感度な計測法であることが示された。次に、97%硫酸,四塩化炭素および水に対して非接触法を特徴とする超音波を用いた音速測定を試み従来法による結果と比較したところ、2%以内の計測誤差で測定可能であることが判明し、本法の音速測定への有効性が確かめられた。さらに交叉角度を変化させることによって超音波周波数を数Xガヘルツから180Xガヘルツまで変えることができ、超音波吸収スペクトルの測定も可能であった。現在のところ、用いたレーザー光の強度変化やコヒーレンスの変動による測定のSN比の低下が再現性や精度の低下を決定している。さらに安定なレーザー光を用いてプラズマ中の化学種の同定や定量,温度変化や密度変化の測定可能と考えられ、さらに性能向上を目指している。
|