研究概要 |
1.本研究は、2次元の光検出器であるイメージ・ディセクターを分光器の検出器として使用し、発光分光分析用の検出器としての特性を調べるとともに、これをICP発光分光分析に応用してその実用性を確かめることを目的としたものである。ことに、イメージ・ディセクターを用いると、従来の機械的な方法ではなく、純電子的に波調変調を行うことができ、これにより微分測光を行ってICP発光分光分析の特長を最大限に利用できる点に大きな意義がある。 2.本研究ではまず、イメージ・セレクターを小型のモノクロメーターにつけて、分光感度特性,分解能,2次微分スペクトル測定の可能性,などを調べ、感度の点では通常の光電子増倍管には劣るが、電子的な波長走査ができることから、微分測光に極めて有用であること、コンピューター制御による多元素同時定量にも使用できるという結論を得た。 3.次いで、本検出器を大型の分光写真器に取付けて、ICP発光分光分析に応用した。ICP発光分光分析は、近年高感度な溶液試料の分析法として大いに発展しつつある方法であるが、従来はマルチチャンネル分光器、あるいはコンピューター制御のモノクロメーターと組合せて使用されている。分光写真器の写真乾板取付枠を外し、スペクトル焦点面にイメージ・ディセクターの光電面が当るようにこれを固定した。測光方式としては、直流増幅方式の外に、微分測光方式及びディジタル積算方式を利用した。直流増幅方式ではイメージ・ディセクターの特長を生かすことができず、感度も光電子増倍管に比べて遙かに劣るが、微分測光方式ではバックグラウンドの自動補正ができ、ディジタル積算方式では多元素同時定量を純電子的な波長走査でできる、などの実用的にも優れた測定ができることが実証された。
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