研究概要 |
1.α-およびβ-シクロデキストリン(CD)のエチレンジアミン誘導体をサクシンアミドプロピルシリカ(Su-Silica)と反応させ、未修飾CD固定相を得、次にイソシアネートと反応させてカルバモイル化CD固定相を合成した。未修飾CD固定相で分離できないトルイジンやジニトロベンゼンの位置異性体、抗てんかん剤混合物の分離が、また未修飾CD固定相で溶出しない安息香酸類の溶出が、カルバモイル化CD固定相では可能となった。 2.α-およびβ-CDのモノエチレンジアミンper-0-メチル誘導体を合成し、Su-Silicaと反応させてメチル化CD固定相を得た。この合成経路はカラム分離を含んでいるため非常に長時間を要するし、さらに収率も低い欠点がある。エチレンジアミン多置換のメチル化CDをSu-Silicaと反応させることにより、迅速かつ収率よくメチル化CD固定相を合成する方法を確立した。両メチル化CD固定相の間には分離能の差異は認められず、さらに未修飾CD固定相とは異なる特異的な分離能を有することが判明した。 3.上記CD固定相のスペーサー部には2級アミノ基が存在し、未修飾およびメチル化CD固定相ではこれが安息香酸類と非常に強く相互作用する。一方、カルバモイル化反応はこのアミノ基にもおこるため、カルバモイル化CD固定相ではスペーサー部と安息香酸類との二次的相互作用は認められない。また、窒素を含まないスペーサー部をもつメチル化CD固定相を合成したところ、このような二次的な相互作用はなくなった。 4.2,6-ジメチルCDあるいは2,3,6-トリメチルCDを含む移動相を用いる逆相モードの液体クロマトグラフィーにおいても、CD部によるホスト・ゲスト現象を反映した特異的な分離が行え、未修飾CDを含む移動相を用いる分離とはその選択性が大きく変化することが判明した。
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