研究概要 |
リン酸すず(SnP),リン酸チタン(TiP)の微結晶体のアルカリ金属イオンに対するイオン交換反応に着目し、SnPまたはTiPを担持させた親水性高分子化合物の球状粒子(ハイブリッド型イオン交換体)を合成し、バッチ法,およびカラム法でナトリウム,リチウムイオンに対する交換吸着挙動をしらべた。ハイブリッド型イオン交換体は無機イオン交換体に見られる高度のイオン選択性と、合成高分子球状粒子に見られるカラム操作の容易さを兼ねそなえた新しい機能材料である。 文献の方法で合成したSnP,TiPの微結晶をアクリルアミド(架橋剤としてN、N′-ビスメチレンアクリルアミドを含む)水溶液に超音波照射により分散させたのち、流動パラフィン-ヘキサン混合液(非イオン界面活性剤を含む)にけんだくさせ重合させる。得られた球状粒子の粒径は、けん濁液の粘度,かきまぜ速度により変化する。一例をあげれば、風乾ゲル粒子は水分75%,ポリマー21%,リン塩酸4.1%の組成で、平均粒径0.25mmの純白な粒子であった。 塩化ナトリウム-水酸化ナトリウム,塩化リチウム-水酸化リチウム系において、バッチ法により交換容量のpH依存性をしらべた。SnP担持ゲルについてはpH8-9にて交換容量最大となり、6.0(ナトリウム),7.2(リチウム)meq/gリン酸塩であり、TiP担持ゲルについてはpH5-7で最大となり、3.8(ナトリウム)7.9(リチウム)meq/gリン酸塩であった。含水風乾ゲル基準ではおおよそ、この1/25の値となり、高分子マトリックスによる稀釈効果と考えることができる。 内径6mm,長さ250mmのカラムにゲル約1.2g(風乾)を充てんし、SV0.19【cm^(-1)】にてナトリウム,リチウムイオン水溶液を流し、漏出曲線から交換容量を求めたが、バッチ法に近い値が得られた。
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