研究概要 |
ニオブ酸およびタンタル酸を中心とし、これにアルカリなどを加えた系において、構造中に4級アンモニウムを取り込んだゼオライト様の化合物の合成を、90〜200℃の温度範囲の水熱条件下で試みた。出発物質は、【Nb_2】【O_5】あるいは【Ta_2】【O_5】から調製したポリ酸塩あるいは無定形の物質であった。 1.骨格がNb【O_6】またはTa【O_6】八面体のみからなる化合物の合成【A_2】O.【O_2】0-【Nb_2】【O_5】,【Ta_2】【O_5】-【H_2】O(A=Li,Na,K、Q=4級アンモニウム)系からは、イルメナイト型のNaNb【O_3】、NaCl型の【Li_3】-【_(xHxTaO)4】およびパイロクロア型の【A_1】-【_(xHxTaO)3】・n【H_2】O(A=Na,K)が生成し、大きな細孔を持つ化合物は合成できなかった。 2.層状化合物からのトンネル構造化合物の合成〓層間への大きな陽イオンの導入による多孔性物質の合成を、【K_4】【Nb_6】【O_7】・n【H_2】0を用いて試みた。NiとAlの多核ヒドロオクソ錯イオンを含む層間距離の大きな化合物が合成できたが、熱的には粘土鉱物より得られるものほど安定ではなかった。 3.複合の元素を含む骨組構造化合物の合成【Na_2】O-【O_2】O-【Nb_2】【O_5】-【P_2】【O_5】-【H_2】O系において、【Nb_2】【O_5】/【P_2】【O_5】<1/18の領域でNbOPO4・nH20に見られる層を、その構造の構成要素とした化合物が幾つか得られた。それらの構造は、層が強い水素結合により結ばれたもの、および層がリン酸グループにより結合されて三次元的な構造へと変化したものであると考えられる。特に後者には、テトラプロピルアンモニウムの大きさまでものを含み得るものがあり、構造中に大きな細孔が存在すると考えられる。フッ石水が存在し、またイオン交換が可能であるなど、この化合物はゼオライト様化合物としての特性を備えており、今後その化学組成および構造など詳しい検討を加える必要がある。 【Al_2】【O_3】,【Bi_2】【O_3】、Si【O_2】、Ti【O_2】、Zr【O_2】および【Sb_2】【O_5】などを加えた系においての合成では、無定形の物質か結晶化度がよくない生成物しか得られなかった。
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