研究概要 |
1.グラファイト層間化合物の合成 (1)sb【F_3】とグラファイトとのフッ素雰囲気中における反応(0〜200℃)によって、Cχ(Sb【F_5】)n【(SbF(^-_6))_(1-n)】を合成した。(2)【F_2】ガスを飽和した液体HF中におけるグラファイトとSn【F_4】との反応によってCχSn【F_5】を合成した。液体HF中では非揮発性フッ化物Pb【F_4】,LiB【F_4】を出発物質としてもCχPbFy,CχBFyが生成する事を明らかにした。(3)単体フッ素と気相成長炭素繊維,活性化炭素繊維との反応(20〜200℃)によってCχFを合成した。これらの合成法を駆使する事により、インターカラントの酸化状態が【M^(+III)】,【M^(+IV)】,【M^(+V)】と異なる層間化合物の合成が可能となった。またCχFでは、インターカラントであるフッ素は分子状〜イオン性と、反応温度によって広く変化させることができる。 2.生成化合物の物性、リチウム電池正極活物質としての特性 Cχ(Sb【F_5】)n【(SbF(^-_6))_(1-n)】、CχSn【F_5】は深青色の金属光沢を示し、もとのグラファイトの約10倍に相当する高電導性(σab=〜【10^5】S【cm^(-1)】)を示す。CχSn【F_5】は空気中でも安定なことが大きな特徴である。さらに、Li/1MLicl【O_4】-PC/CχMFy,CχF(PC=プロピレンカーボネート)を試作し、その性能を評価した。CχMFyを正極とする電池は3.9〜4.2【V】と、非常に高い起電力を示す。CχF正極の起電力は3.6〜3.7【V】であるが過電圧が小さく、電流密度0.5mA/【Cm^2】で放電電位が2.5【V】程度とかなり高く、利用率約80%で電位平担性も優れている。このような放電特性はグラファイト層間化合物の構造的性質(結晶子の大きさと配向性)に強く依存し、ab-軸方向の結晶子径が大きく、C-軸方向は小さいほど過電圧が少さく電位平担性が向上する事が明らかにされた。
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