研究概要 |
1.Al【F_3】,Hf【F_4】,Sc【F_3】,Zn【F_2】,Zr【F_4】,Ga【F_3】,Fe【F_3】,In【F_3】をガラス網目形成成分とする2成分系あるいは3成分系のフッ化物ガラスの作製を試み、その電気伝導度を交流法にて測定した。組成により電導度の値に幅はあるが、測定した組成では上記の各ガラス系が示す最高の電導度値は上述した系の順に大きくなった。とりわけ、In【F_3】系ガラスで35In【F_3】・30Sn【F_2】・35Pb【F_2】組成は【F^-】イオン高伝導性結晶であるβ-Pb【F_2】を凌ぐ電導度値を示した。 2.高い電導度を示すガラスのうち、【F^-】イオン以外による電気伝導が起りうる可能性をもつガラス,Zr【F_4】-Ba【F_2】-CsFガラスおよびFe【F_3】-Mn【F_2】-Pb【F_2】ガラス、についてそれぞれTubandt法とemf法により輸率測定を行った。その結果、前者は純粋に【F^-】イオン伝導体であるが、後者は電気伝導のうち数%から十%程度は電子伝導に起因することが明らかになった。 3.BaZr【F_6】ガラスとα型およびβ型BaZr【F_6】結晶の電導度測定と【^(19)F】広幅NMR測定から、ガラスおよび結晶ともその【F^-】イオンのサイトには運動の速さの異なる2種のサイトがあること、一方、【F^-】イオンの運動の容易さはBaZr【F_6】>β-BaZr【F_6】>α-BaZr【F_6】の順であり、ガラス状態の方が結晶状態に比べて【F^-】イオン伝導は容易であることが明らかになった。 4.各種のフッ化物ガラス形成系での電導度測定,Zr【F_4】-Ba【F_2】-CsF系ガラスの電導度の組成依存性の詳細な検討などから、フッ化物ガラスでは電導度は伝導のための活性化エネルギーに主に支配され、一方、活性化エネルギーはガラスを構成するカチオンの平均分極率およびガラス網目形成カチオンとフッ化物イオンの単結合強度により大きく支配されること、そして電導度を高めるためには、分極率の大きいカチオンを多量に含有させると同時に【F^-】イオンとの単結合強度の小さい網目形成カチオンからなるガラス系が望ましいことが明らかになった。
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