研究概要 |
ガラス製造技術面のみならず。種々の物性面においても重要であるガラス融液の酸・塩基機能を酸素イオン濃淡電池の起電力測定および特定イオンの電極電位の測定から評価した。アルカリホウ酸塩二成分ガラス【R_2】O-【B_2】【O_3】、およびアルカリ珪酸塩二成分ガラス【R_2】O-Si【O_2】(ここでR=Li,Na,K,Cs)について種々の酸素イオン濃淡電池たとえば(【O_2】)Ptl【NA_2】0・2【B_2】【O_3】【ll】×【R_2】O・(1-x)【B_2】【O_3】【l】Pt(【O_2】)を組立て850〜1,300℃における超電力を測定し、種々のガラス融液の【Na_2】O・2【B_2】【O_3】または【Na_2】O・2Si【O_2】基準の酸素イオン活量を算出した。【R_2】O-【B_2】【O_3】系の酸素イオン活量は【Li_2】0,【Na_2】O系では【R_2】O=20mo1%で極小を示すが他の系では【R_2】Oの増加につれて大きくなった。この極小現象はB-B距離の収縮に対応している。【R_2】O-Si【O_2】系では【R_2】Oの増加とともに酸素イオン活量は単調に増加し、分極性の大きな酸素の増加を反映した。またいずれの系でもCs>K>Na>Liの順に酸素イオン活量は増加し、アルカリイオンの分極能の小さいもの程、陰イオンの酸素イオン供与性を増大させることが明らとなった。一方、(【O_2】)Ptl【Na_2】O・2【B_2】【O_3】【ll】【Na_2】O・2Si【O_2】lPt(【O_2】)の起電力測定より得た共通尺度によるホウ酸塩と珪酸塩の酸素イオン活量の比較より、等温・等アルカリ濃度では珪酸塩の方が酸素イオン活量は大きくなり、非架橋酸素がガラスの酸・塩基性に大きな影響を及ぼすことが明らかになった。他方、プローブイオンとして【Sb^(3+)】-【Sb^(3+)】および【Cd^(2+)】-【Cd^0】対を選び、これらイオンのガラス融液中での電極反応を白金電極を用いて調べた。x【R_2】O・(1-x)【B_2】【O_3】融液における【Sb^(5+)】/【Sb^(3+)】,【Cd^(2+)】/Cdの還元電極電位はいずれもガラス融液の酸素イオン活量が増加するに従って負電位側にずれた。【Na_2】O・2【B_2】【O_3】共通基準に換算されたこれらイオン溶媒和エネルギーはガラスの塩基性が増すにつれ大きくなった。このことは、【Sh^(5+)】,【Cd^(2+)】イオンの酸素との結合力がガラスの塩基性の増加とともに大きくなることを意味する。
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