研究概要 |
フロンによるシリカ表面のフッ素化を低圧気相循環接触方式およびプラズマ処理方式の二方法に分けて行なった。試料としては、何れもAEROSIL200(日本アエロジル社)を高温(〜1150℃)で3時間加熱処理したものを用い、ほかに、気相循環処理法による場合に限り、繊維状石英ガラス,ガラス繊維(日東紡,E-ガラス)などをも用いた。試料のフッ素化の程度を知るため、XPSを測定し、さらに性状の変化を検討するため、各種ガスの吸着,ESR,熱刺戟エキソ電子放射(TSEE)の測定をも行なった。 これらの結果、1000℃以上に加熱し安定化したシリカでも500〜550℃付近でフロン類と十分に循環接触させれば表面層のフッ素化を進め得ること、フロンのF含量が減ずる程、フッ素化の活性が増すこと、【CF_4】のような最も安定なフロンを用いる場合でも、その圧を(200Torr程度に)高め、長時間(例えば2時間)循環させれば充分に表面層をフッ素化できることなどを認めた。また、各種のガス吸着の結果、フロン処理によりシリカ表面の疎水、疎油性が高められ、逆にペルフルオロ化合物に対する親和性が増すことを知った。一般に、このような気相フロン処理法はシリカ表面のOH基の除去に有利有効で、表面シラノール基により性能が低下する光ファイバー素材の処理法として利用されよう。 表面層のフッ素化をさらに高度に進めるためには、【CF_4】プラズマ法が有効で、この場合【CF_4】の処理圧は(0.1〜1.0Torrの範囲で)フッ素化度に影響しない。一方、処理時間は最初の0.5分で大きくフッ素化度を高めた後にも、その増加に応じ、徐々にフッ素化度を高め、3分間処理でF/Si原子比は約0.7に達する。ESR測定の結果、【CF_4】処理シリカには非対称的スペクトルが認められ、その強度は処理時間とともに増加した。その強度は同条件下Arプラズマ処理の場合にくらべ著しく大きかった。
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