研究概要 |
チオカルバモイル化及びジチオホスホリル化の新方法の開発をめざし、カルバモイルスルフェニルハロゲニドチオホスホリルスルフェニルハロゲニドの合成を検討した結果、次のような結論が得られた。 1.亜鉛ビス(チオカーバメート)(5)およびジフェニルチンビス(チンビス(チオカルバメート(6)とN-ハロスクシンイミド(特にN-プロモスクシンイミド)との反応からは、チオカルバモイル化剤であるカルバモイルスルフェニルブロミド(7)の合成は難しいと考えられた。原因はカルバモイルスルフェニルブロミド(7)自身の熱に対する不安定性および分離の難しさによるものと考えられた。熱的安定性がより大きいとみられるカルバモイルスルフェニルクロリドの合成法を検討する必要があると思われた。 2.0,0′-ジアルキルジチオリン酸スズエステル(9および10)と臭素またはN-ブロモスクシンイミドとの反応から親電子性ジチオホスホリル化剤である0,0′-ジアルキルチオホスホリルスルフェニルブロミド(11)が合成できることを明らかにした。得られた0,0′-ジアルキルチオホスホリルスルフェニルブロミド(11)は熱に対し不安定で単離することは極めて難しいが、0℃以下の低温では比較的安定で親電子性ジチオホスホリル化剤として十分使用できると考えられた。今後、熱的安定性がより大きいとみられる0,0′-ジアルキルチオホスホリルスルフェニルクロリドの合成方法の確立、およびそれらのスペクトルを明らかにすると共に、ビス(0,0′ジアルキルホスホロチオイル)テルリド等のハロゲン化によるジチオホスホリル化剤の新方法を検討する必要があると思われた。
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